■PROFILE
浅井 義之
研究職 ツール(刃先)の研究開発業務
工学部 応用化学科卒業
2007年 中途入社
■JOB
脆性材料を切断する工具の研究開発。新素材・加工方法の探索から開発した工具の性能評価、計測技術の確立など幅広く担当。
切断する材料の種類やサイズによって工具の寸法・形状などが微妙に違うため、1/1000mm以下の精度で工具を調整しなければならない、高い技術力・集中力などが求められる業務。
INTERVIEW
■仕事の難しさ、面白さや、仕事をする上で大切にしていることを教えてください。
実験や検証にあたっては、予測を立ててから行います。また、試してもムダだと思えるが誰も試したことがなさそうな内容も一割くらい盛り込んで行います。
その結果、予測に反する結果が出てきたときは面白さを感じます。うまくいく予測に反して失敗したのであれば、それまでの考えが間違っていたことに気づくことができ、真理に少し近づくことになります。
試してもムダだと思えたことだけがうまくいくことも稀にあり、常識的なことは世の中の数えきれないほどの多くの人が試しているはずなので、非常識なことも少し実験に盛り込み、可能性を広げることを大切にしています。
■仕事での失敗談があれば教えてください。
仕事に失敗はつきもので、失敗しても失敗とは考えません。うまくいかないことが分かった「経験の一つ」と捉えるようにしています。失敗しない人は新しいことに取り組んでいないだけで、うまくいかなかった中から何を学び取るかが重要なのだと思います。うまくいかないことがあっても、後々意図しないところで役に立つことは多々あります。
■反対に、成功体験はありますか?
成功に行き着くのは難しく、どこまでいっても通過点の一つと捉えています。成功したと考えるとそこで思考が止まってしまいます。一見うまくいって成功したように見えても、もう少し良い方法があるかもしれないと考えるようにしないと後退が始まってしまうような気がしています。
技術は日々進化しており、現在の常識は未来の常識ではなく、現在の最善は未来の最善ではないと思うと、長い目で見ると成功とは一瞬だけの些細なことのように思えます。
■これから就職先を決める後輩にアドバイスをお願いします。
『常識=正しい』ではありません。アインシュタインの言葉にも「常識とは十八歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」とあります。常識はそれまでの考えが正しいという土台の上に構築されています。しかし、時代や場所によって何が正しいかは常に変わります。人の言葉や書かれたものを無条件で正しいと受け入れるのではなく、自分なりに考えるようにし、仕事を進める上でもできるだけ疑いながら、何に対しても疑問を持つように心がけることが大切なのだと思います。