INTERVIEW
SPECIAL TALK

クオリティへの飽くなき探究心と、揺るぎないチャレンジ精神
MDI 90周年記念インタビュー 飯田事業所

仕事を続けられたのは
「人の良さ」があったから

2025年に創業90周年を迎える三星ダイヤモンド工業。これまで「さまざまなガラスに対する高品質カッティング技術」を駆使し、加工プロセスや装置、工具を国内外のたくさんのお客さまに提供してきました。

今回登場するのは、長野県にある飯田事業所で製造の現場を支える若手3名。

まずは入社した経緯から伺います。

伊藤「私は、三星ダイヤモンド工業で働いていた中学の先輩に声を掛けられたのがきっかけです。もともと真平くん(林さん)は中一からの幼馴染みで、先輩は真平くんを誘ったのですが、そのときは代わりに私が入って。3年後に真平くんが入ってきました」

林「当時は夢を追いかけながら、東京や名古屋で職を転々としていて。この仕事に確固たる誇りがあるわけではないですが、気付けば17年。すぐちゃん(伊藤さん)も先輩もいたし、周囲の人の良さがあったからこそ、ここまで続けられました。たとえ業種が違っても、ここの仲間なら続いてたんじゃないかな」

鎌倉「私も、同じ中学ではないですがすぐ近くの地域出身です。就活をしていたときがガラケーからスマホに移り変わるという時代で『液晶ガラスのことをやっている会社が飯田にあるんだ』と興味を持って入社しました」

画像:伊藤 卓

お客さまの声が現場のモチベーションになる

ー伊藤さんは、入社から20年間製造一筋とのこと。働くなかで、やりがいを感じる瞬間はありますか?

伊藤「お客さまに製品を褒めてもらったときですね。普段は決められたものを決められた通りに、ミスなくつくることが当たり前。不具合の報告や要望を受けることはあっても、褒められることってほとんどないんです。だからこそ、褒められたときはうれしいし、現場のモチベーションも上がります」

ー具体的にはどのように褒められたのでしょうか?

伊藤「お客さまのところへ行ったとき、会話の流れで『どうしてうちの製品を使ってくれているんですか?』って聞いたことがあったんです。そうしたら『刃先を保持するホルダーの穴やピンの精度が良くて摩耗しない』とか『他社よりもクオリティが高い』と言っていただきました」

画像:林 真平

「明日も会社に来たい」と
思ってもらえるように

ー林さんは、三星ダイヤモンド工業の新事業、ガラスカッター「OZREE」(オズリー)のプロジェクトリーダーを担当されています。製品について詳しく教えてください。

林「OZREEは、ステンドグラスなどを自作されるアーティストさん向けにつくったガラスカッターです。普段はto Bに向けた業務用製品がメインですが、これはto Cの個人向け製品。会社としても、新しい方向性を開拓していきたいということで誕生しました」

ーシックなデザインでかっこいいですね。

林「そうなんです。プロのデザイナーさんに入ってもらい、見た目と機能、どちらにもこだわりました。海外に売ることも想定して、日本人にとっては少し大きめのサイズに仕上げています」

ー実際に、先日ドイツの展示会に参加されたということですが、反応はいかがでしたか?

林「狙い通りアーティストの方がたくさんブースに来てくれて、かなり好感触でしたよ。海外の方はストレートな物言いなので、いいところも悪いところも、しっかりご意見をいただきました。通訳さん越しに会話するので、言葉のニュアンスまでは伝わらないのが悔しかったですけどね」

ープロジェクトリーダーという立場はいかがでしたか?

林「何が正しいリーダーかわからないですけど、周りのみんなが引き立つように動くことを意識していました」

伊藤「真平くんがそんなことを言うようになるなんて。大人になったなあ(笑)」

林「『この人だったらついて行きたいな』『明日も来よう』と思ってもらえたらいいなって。先頭に立って引っ張るだけがリーダーじゃないんですよね。たとえばグループで飲食店に入って空き状況を確認するのは後輩だったりする。リーダーは、みんなが楽しく仕事に取り組めるように全体を見ることが大切だと思うんです。あとは0から1を生み出すというプロセスも、自分に合っていて楽しかったですね」

画像:鎌倉 崇斗

次世代リーダーの育成講座で興味を持った、会社の経営面

ーこのなかでは最年少の鎌倉さん。現在入社12年目ということですが、働くなかで印象に残っていることはありますか?

鎌倉「去年参加した、自社の『リーダースクール』ですね。期間は半年間で、月に1回参加。リーダー像や人生観、会社のキャッシュフローなどについてみんなでディスカッションするというものです。大阪本社のメンバーは8名、飯田事業所からは私一人での参加でした」

ーお一人だったんですね。

鎌倉「一人だからこそ、『会社を良くするために、飯田事業所ではこれに取り組んでいこう』という答えに辿り着いても、現場にその熱量を伝えて、みんなで同じ方向を向いて実践する、というのが難しくて。普段の業務とはだいぶ違う内容なので頭も使いますし、なかなか苦しい半年間でした(笑)。でも会社の経営面について考えるのはとても楽しかったですね」

ーどんなポイントが楽しいと感じたのでしょう?

鎌倉「もともと、家庭の収支や国の財政、株など、お金の動きに興味を持っていたんです。工場の固定費を下げるにはどうしたらいいのか。決算はどうなっているのか。そんなことを考えたり、新しいこと学ぶのはおもしろかったですし、もっと知りたいと思いました」

世界シェアNo.1に返り咲くことを目指して

ー最後に、今後「こんな会社になったらいいな」という思いがあれば教えてください。

伊藤「刃先のことでいうと、以前はうちが世界でシェアNo.1という状態でした。でも今は競合が増えて、そうではなくなってしまった。クオリティの高い他社製品も出てきていて、つくる側としては悔しさがあります。やっぱり品質面ではどこにも負けたくない。私としては、あと10年と言わず、あと3年以内くらいで、もう一度世界シェアNo.1を取りたいですね。コスト面は限界もあるので『値段は高くても、精度は絶対に三星ダイヤモンド工業だよね』と言ってもらいたいです」

林「私は、どんどん新しいことに挑戦できる会社にしていきたいです。今の時代、消費者に広く認知されることって、ときにお金よりも価値があると思うんです。だからこそ、アーティストさんに向けて商品開発をしていったOZREEの次は、子ども向け商品とか。一般家庭でも使いやすいものを開発してみたいですね」

伊藤「会社としての体力がないと、新しいことにも挑戦しづらいから、売り上げが上がって会社自体の雰囲気ももっと明るくなると良いよね。仕事は大変だけど楽しい、みたいな」

鎌倉「本当にそうですね。飯田事業所だけでもしっかり立てるくらい、まずは売り上げをつくったり、みんなが同じ方向に向かえるように足並みを揃えたり。不満を言うだけじゃなくて、自分ならどう変えられるかを考えていきたいです」

長野県飯田市の大自然に囲まれ、日々ものづくりに取り組む3名。本人たちは「高い志があったわけではない」と笑いますが、仕事への誇りと確かな情熱に触れることができました。

10年後の100周年、そしてその先へ向かって。世界シェアNo.1を見据えたクオリティへの飽くなき探究心と、チャレンジ精神は止まるところを知りません。

  • 林 真平

    林 真平

    飯田事業所
    生産技術部門

  • 伊藤 卓

    伊藤 卓

    飯田事業所
    製造部門

  • 鎌倉 崇斗

    鎌倉 崇斗

    飯田事業所
    製造部門

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HISTORY
90 YEARS HISTORY

90年の軌跡

1935年の創業以来、脆性材料や難加工材料の切断・割断技術において、絶え間ない革新を続けてきました。
90年の歩みは、お客様と共に築き上げてきた信頼と技術の歴史そのものです。これまで積み重ねてきた挑戦と成長の軌跡を振り返ります。

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ADVANCING TOGETHER

90年という歳月の中で、
お客様と共に築き上げてきた技術と
信頼の結晶は、
私たちにとって何ものにも代えがたい宝物です。
皆様の支えがあったからこそ、
私たちは成長を続け、
多くの挑戦を乗り越えることが
できました。

これからも皆様のご期待に応え、
新たな挑戦を続けながら、
共に新たな可能性を
切り拓いてまいります。
三星ダイヤモンド工業は、
未来のものづくりを
お客様と共に描き、
共鳴し合う
存在であり続けることを
お約束いたします。

私たちの挑戦が、
皆様の未来に彩りを添え、
共に歩む力となれることを
心より願っております。

2025年、創業90周年を迎えます。
先人たちがガラス切りに込めた
想いと技術を受け継ぎ、
100年続く企業を目指します。

1935