INTERVIEW
SPECIAL TALK

ガラスへの素直な好奇心を原点に、90周年だからこそ柔軟な挑戦を
MDI 90周年記念インタビュー 本社

小さい頃から大好きだった、理科の実験

2025年に創業90周年を迎える三星ダイヤモンド工業。これまで「さまざまなガラスに対する高品質カッティング技術」を駆使し、加工プロセスや装置、工具を国内外のたくさんのお客さまに提供してきました。

今回登場するのは、大阪本社で技術開発や営業に携わる4名。

まずは入社した経緯から伺います。

舩木「入社17年目で、今は主に『ツール営業』を担当しています。前職ではガラスを薬品につけて薄く加工する仕事をしていたのですが、シフト制でけっこう忙しかったんですよね。土日休めて前職での知識が活かせるところ、という条件で見つけて転職しました」

田中「私は大学時代、工学部でガラスの研究をしていました。『二酸化ケイ素』などの粉末をゴリゴリ混ぜて、高温で溶かして成形し、冷やし固める。その混ぜ込む材料によって、熱伝導率などの物性がどれだけ変わるか調査、研究していたんです。小さい頃から理科の実験が大好きだったので、研究開発部で切断工具の開発を仕事にできていることがうれしいですね」

徳力「理科の実験、私も大好きでした。どんな結果になるんだろうって、ワクワクしますよね。私は大学のとき、有機物で半導体をつくる研究をしていて、地元大阪での研究職を探して新卒で入りました。今は入社5年目で、主に太陽電池のレーザー加工プロセスを担当しています」

池内「私はもともと大学の物理学科で超音波の研究をしていました。インターンシップで『ガラスってこんなに簡単に割れるんや』と衝撃を受けて、今はプロセスエンジニアとして働いています」

画像:舩木 清二郎

クライアント対応の経験が確かな力になる

ー舩木さんはこのなかで一番のベテランです。仕事のなかで特に印象に残っていることはありますか?

舩木「中国出張に行ったときのことはよく覚えていますね。難易度の高い仕様を要求されて『これは成り立たないぞ』ということが事前に予想できてしまっていたんですよね。でも、どうにか形にしないと日本に帰れない(笑)。普段は問題なく進める部分も『はまって』しまって、うまい落しどころを見つけるのに時間がかかりました」

ーできなさそうだと分かりながら挑戦するのは大変ですね。「はまる」というのはどういった状況なのでしょうか?

舩木「悪い状況に陥って、堂々巡りになってしまうようなイメージでしょうか。このときは、2年近くはまり続けていました…。結局、そのときあった技術や機材を掛け合わせて、いくつかの方法を試しながら、まずはその場を凌いで。最終的には、根本から解決できる方法が見つかったので、本当にほっとしました。はまった末に、考えて考えてたどり着いた答えが、確かな経験になって生きていると感じます」

画像:池内 亮輔

ガラス加工の技術を伝えるために海外へ

ー池内さんも海外出張経験があると伺いました。

池内「以前技術を教えにドイツに行きました。私は当時、折りたたみ式のスマホ画面に使うような、とても薄いガラスを切る研究をしていたんです。30〜50ミクロンほどなので、少しの衝撃ですぐに割れてしまう。特殊な加工をして切るのですが、かなり専門的な説明になるので、通訳さんにすら伝えるのが難しくて。翻訳アプリやジェスチャーを交えながら、なんとか意思疎通できるよう奮闘しましたね」

ー徳力さんは、働くなかでうれしかった瞬間はありましたか?

徳力「自分が関わった案件で、はじめて受注が取れたときはうれしかったです。太陽電池を加工するためのすごく大きな機械で、ロールに巻かれたシート状の素材をレーザーで加工していくというもの。装置の組み立てを見に行ったときは『これが本物か…』と、感慨深い気持ちになりました。納入後、ご要望の加工はできるものの、想定より発電効率が低くなってしまうことがわかり、加工条件を調整するのには苦労しました」

ー同じ素材を使っていても、加工のやり方次第で発電効率が変わるというのは知りませんでした。
画像:田中 茉紀

「原因不明」のトラブルの正体を、粘り強く探る

ー田中さんは、どんなお仕事をされているのでしょうか?

田中「私の主な担当は、素材を切断するための『ホイール』の観察、測定、性能評価です。そしてその結果を分析、考察し、加工担当者にフィードバックしています。より良いものづくりができるよう、各部署と連携しながら、日々開発に取り組んでいます」

ー働くなかでやりがいを感じる瞬間はありますか?

田中「以前お客さまから『加工後に、素材の強度がばらつくのはなぜか』というご質問があって。その原因を突き止めたときは、特にやりがいを感じました」

ーどう対応していったのでしょうか?

田中「ガラスって、『スクライブ』という工程で表面に小さな傷を付けて、そこに力を加えて割っていくんです。だからこそ、ホイールや加工条件によって、切断面の強度が変化します。このときは、加工後になぜかわからないけれど強度がばらついているという状況でした。原因を突き止めるために社内の観察機器を駆使して、粘り強く何度も観察。ホイールの仕様や加工条件、加工後の基板状態など、ありえそうな可能性を一つひとつチェックしていきました」

ーなるほど、それは大変そうですね。

田中「頭を捻りながら、限界になったら尊敬している先輩に相談して。やっぱり先輩って、経験値が違うから引き出しが多いんですよね。それでやっと自分なりの考察ができて、お客さまにもご納得いただけたときは達成感がありましたね」

画像:徳力 朱音

時代の変化に合わせて柔軟にチャレンジ

ー最後に、今後「こんな会社になったらいいな」という思いがあれば教えてください。

池内「失敗を恐れると安全圏で留まりがちですが、挑戦してこそ成功をつかめると思うので、どんどんチャレンジできる会社にしていきたいですね」

田中「私は行動力をアップできたらいいなと思っています。頭で考えるのも大切にしつつ、まずは自分から、手や体を率先して動かしていきます」

徳力「別部署の方やお客さまと話すと、新鮮な視点に気付かされるんですよね。だから仕事の範囲に制限を付けず、自分の専門外のことも広く勉強していきたいです」

舩木「時代に合わせて変わっていくためには、アイデアや工夫、遊び心が大切です。取り付けの向きひとつにしても『違う向きで取り付けたらどうなるんだろう』『本当にそうなのかな?』って。まずは諸先輩方が残してくれた知識や技術という財産に感謝しながら、柔軟にチャレンジしたいですね」

突き詰めるほどに「はまる」奥深い世界。ガラスって、加工って、おもしろい。そのシンプルな好奇心を原点に、より精度の高いクリエイティブを目指して奮闘するメンバーたちの姿を垣間見ることができました。

日本中、そして世界中に三星ダイヤモンド工業の製品を届けるために。これからも4人の挑戦は続きます。

  • 舩木 清二郎

    舩木 清二郎

    営業部門

  • 池内 亮輔

    池内 亮輔

    営業部門

  • 田中 茉紀

    田中 茉紀

    開発部門

  • 徳力 朱音

    徳力 朱音

    開発部門

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HISTORY
90 YEARS HISTORY

90年の軌跡

1935年の創業以来、脆性材料や難加工材料の切断・割断技術において、絶え間ない革新を続けてきました。
90年の歩みは、お客様と共に築き上げてきた信頼と技術の歴史そのものです。これまで積み重ねてきた挑戦と成長の軌跡を振り返ります。

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ADVANCING TOGETHER

90年という歳月の中で、
お客様と共に築き上げてきた技術と
信頼の結晶は、
私たちにとって何ものにも代えがたい宝物です。
皆様の支えがあったからこそ、
私たちは成長を続け、
多くの挑戦を乗り越えることが
できました。

これからも皆様のご期待に応え、
新たな挑戦を続けながら、
共に新たな可能性を
切り拓いてまいります。
三星ダイヤモンド工業は、
未来のものづくりを
お客様と共に描き、
共鳴し合う
存在であり続けることを
お約束いたします。

私たちの挑戦が、
皆様の未来に彩りを添え、
共に歩む力となれることを
心より願っております。

2025年、創業90周年を迎えます。
先人たちがガラス切りに込めた
想いと技術を受け継ぎ、
100年続く企業を目指します。

1935