1. HOME
  2. 技術情報
  3. MDIの精密加工技術
  4. ペロブスカイト向けパターニング加工
  5. ペロブスカイト太陽電池とは? – 次世代エネルギーと加工技術の最前線
MDIの精密加工技術

ペロブスカイト向けパターニング加工

ペロブスカイト太陽電池とは? – 次世代エネルギーと加工技術の最前線

私たちの暮らしに欠かせないエネルギー。その中でも、太陽光発電は再生可能エネルギーとして注目され続けてきました。そんな太陽光発電の世界に、今大きな革新をもたらしているのが「ペロブスカイト太陽電池」です。

この太陽電池の最大の特長は、「軽く」「曲がる」こと。従来主流であったシリコン系太陽電池と異なり、フィルム状の基材に発電層を塗布して作られるため、軽量で柔軟性に富んでいます。これにより、ビルの窓や壁、さらには曲面など、これまで設置が難しかった場所にも太陽電池を取り付けられる可能性が広がりました。

また、製造コストが低く出来るのも魅力です。ペロブスカイト太陽電池の材料は国内調達可能なものが大半で比較的安価に製造できるうえ、印刷技術や塗布技術を応用することで、大量生産が可能になります。今後さらに普及が進むことが期待されています。

発電効率についても、すでに研究段階では25%を超える数値が報告されており、従来のシリコン型太陽電池と肩を並べる性能を実現しつつあります。しかも、ペロブスカイト太陽電池は曇りの日や室内光など、弱い光でも発電できるという特性を持っており、活用シーンの幅も大きく広がっています。

現在、日本国内でも各所研究所や大学、企業などが開発に注力しており、日本政府も戦略的な支援を強化しています。2050年のカーボンニュートラル実現に向けた国家的な取り組みの中で、ペロブスカイト太陽電池は重要な要素のひとつと位置付けられており、エネルギー政策の中核技術としての期待が高まっています。また、世界的にも研究と導入が進んでおり、ヨーロッパやアジア、アメリカを中心に、多くの国々が次世代の太陽電池として注目しています。こうした国際的な動きと連動しながら、日本発の技術がグローバルなエネルギー課題の解決に貢献することが期待されています。

こうした期待を背負うペロブスカイト太陽電池の製造において、極めて重要な工程の一つが「パターニング」です。これは、発電層や電極層をレーザーや工具で選択的に除去し、電気の流れを制御する構造を形成するプロセスです。

太陽電池においては、PSC(ペロブスカイト)、CIGS(CIS)、CdTeなどの薄膜太陽電池の量産製造工程において、各層の成膜後に集積構造を形成するためにパターニングが行われます。

パターニングは、1層目の電極を除去するP1パターニング、発電層を除去するP2パターニング、最終電極を除去するP3パターニングの3工程に分かれており、それぞれがセル間の適切な電気的分離と接続を担います。

この一連の工程により、電流が短絡することなく、セル間を効率的につなぐ集積構造が形成され、モジュール全体の発電効率に直接貢献します。

この工程において重要なのが、非発電領域(デッドエリア)をいかに狭く抑えるかという点です。弊社では、デッドエリア幅160μm以下という狭小化での量産製造にも成功しており、これは発電面積の最大化と変換効率の向上に大きく寄与します。

弊社が主力として展開するのは、Roll to Roll(R2R)方式によるノンストップ加工装置です。最大幅1000mm・高速搬送1m/secであっても±20µmという高精度を維持し、大面積かつ連続製造を求められる量産現場において優れた生産効率と品質安定性を発揮します。R2R装置は、ペロブスカイト太陽電池の特徴の一つである柔軟性を活かした基材のフィルムや薄板ガラス基板でのパネル幅の大型化や処理枚数の増加といった量産性の課題に応える装置として、今後のペロブスカイト太陽電池製造における中心的な役割を担うと考えています。


R2Rシリーズ – R2R式ノンストップ加工装置

R2R装置には、パターニング装置の操作性や保守性に特化した専用GUIを搭載しており、直感的な操作が可能。加えて、加工位置やレーザー出力の変動にリアルタイムで対応する自動補正機能も備え、連続加工中でも安定した製品品質を確保出来る装置となっています。

一方で、ガラス、フィルム、ウェーハといった枚葉式ワークへの対応には、LPMⅡ装置を展開。小ロット生産や試作検証、熱影響を抑えたい用途に適しており、R2R装置と同様の±20µm精度を維持しながら、多様なプロセスに対応可能です。

弊社では、量産性に優れたR2R装置を中核に据えつつ、用途やニーズに応じて柔軟に対応できる装置ラインナップを構成しています。


上記製品・サービス等に関するお問い合わせ

ホームページからのお問い合わせは、下記リンク先の「お問い合わせフォーム」をお使いください。

お問い合わせページ