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MDIの精密加工技術

MDIの精密加工技術

SnB加工の特徴

SnB( Scribing and Breaking / スクライブ&ブレイクの略称)加工は、加工素材の物性を利用した割断加工方法です。そのため、水を使用しないドライ加工であり、加工速度も高速化が可能です。素材の物性(特に結晶方位)に大きく影響されるため、加工のプロセス条件を見出すことが難しい側面を持っていますが、MDIでは豊富な経験を活かし、最適なプロセス条件を設定します。

スクライビング方法(ホイール)

ダイヤモンド工具によるホイールスクライビング(wheel scribing)を用いたスクライブ&ブレイク加工は、高精度な材料切断を実現する技術であり、特に弊社のカッティングホイールを使用することで、その性能を最大限に引き出すことができます。この加工方法は、ガラス、半導体ウエハー、セラミックスなどの硬質かつ脆い材料の加工に適しており、極めて細かい精度を要求される産業分野で広く採用されています。

スクライブ&ブレイク加工のプロセスは、スクライブ(刻印)とブレイク(割断)の二段階から成ります。まず、弊社の高品質なダイヤモンドカッティングホイールを用いて、目的の材料表面に微細な切り込みを入れます。このスクライブラインは、後工程で材料を正確に割断するためのガイドラインとなり、切断面の品質を大きく左右します。弊社のカッティングホイールは、そのシャープな切れ味と耐久性により、均一で正確なスクライブラインを実現し、加工品質の向上に貢献します。

スクライブの後、対象材料に適切な圧力を加えてブレイクします。この過程では、先に入れられたスクライブラインに沿って材料が綺麗に割れるため、非常に滑らかで直線的な切断面が得られます。この方法の最大のメリットは、加工に際して発生する熱がほとんどなく、材料の変質や損傷のリスクが極めて低いことです。また、高速での加工が可能であり、大量生産においても高い生産効率を実現します。

弊社のカッティングホイールを使用したスクライブ&ブレイク加工は、加工精度の高さだけでなく、製品の品質向上にも大きく寄与します。特に、半導体製造や精密機械部品の加工においては、微細な加工誤差も許されないため、この技術の重要性は一層高まります。また、加工面の滑らかさが要求される光学部品や医療機器の製造においても、この加工法の採用は効果的です。

 

ホイールスクライビングは、

  • UTG(超薄板ガラス / Ultra Thin Glass )向けの高精度固定刃「SOLID-D」
  • ホイール形状のノーマルホイール
  • その稜線に溝加工をした高浸透(深い垂直クラック)の「 Penett® 」
  • 安定した内切りが可能な「 APIO® 」
  • カレットを低減できる「 Ryu 」
  • SiCなど
    の高硬度材料向け「 Tougheel® 」

など、加工材料にあわせ、さまざまな形状のダイヤモンド工具(ツール)を開発しています。それらの材質や角度、溝数(分割数)、溝深さなどを組み合わせることで最適なスクライビングを実現します。

弊社のカッティングホイールを用いたスクライブ&ブレイク加工は、その高い加工精度、効率性、そして材料への負担の少なさにより、多岐にわたる産業分野での製造プロセスにおいて重要な役割を果たしています。

 

 

ブレイキング方法

ブレイキングはスクライビングで形成された垂直クラックを進展させることで割断(分離)する工程です。スクライビング状態にあわせてブレイキング方法を選択する必要があり、高い断面品質のためには、スクライビングとブレイキング工程それぞれが加工材料に適切な条件になっていることが求められます。

サポートテーブルで支え、ブレイクバーで押し下げる、3点曲げブレイキング、基板を傾けることでクラック(亀裂)を進展させる、傾動ブレイキングなどは一般的ですが、特殊な弾性体で支持した基板をブレイクバーで押し込む「 VM SEPARATION® 」や、超音波の振動を利用するもの、加熱・冷却によるもの、ロボットによる手割を再現するものなど多くの手法があります。

 

 

 

SnB加工の基本な特性

SnB( Scribing and Breaking )手法は、ガラスに代表される硬くて脆い材料(硬脆性材料)を切断/割断する方法として使われています。

スクライビング工程では、基板表面に圧力を加えることで板厚方向のクラックを形成します。次のブレイキング工程では、このクラックをさらに進展させることにより基板を分離します。三星ダイヤモンド工業株式会社では、創立(1935年)以来、ガラス加工の職人さんが使用するガラスカッターの製造ノウハウを活かし、さまざまな脆性材料を高品質で切断/割断加工できる装置、工具、技術を開発し続けています。現在では、ガラスだけでなく、セラミックスや半導体材料など、SnB加工方法の応用範囲が拡がっています。

SnB加工の基本的な特徴は、加工に必要なストリート幅が極めて狭いこと、ダイシング加工のような除去加工ではないため高速切断/割断が可能であること、割断したエッジ部にはチッピングがほとんど発生しないこと、さらに、これらの加工が水など研削液を使わない完全ドライ加工であること、などが挙げられます。

また、高品位な割断加工のため、微細にも断面は平滑な割断面(結晶構造を保つ場合は劈開面)を持つため、他の手法に比較して、サイドクラックを抑制できるだけでなく、高い抗折強度を持つことも特長です。

 

基板の薄化・高硬度化、チップサイズの微細化への対応

電子部品デバイスは技術進化に伴い、基板がより硬い材料に変わり、それらはより薄くなっています。さらに、製品のチップサイズはより小さくなり、個片化(チップ化)工程での難易度が上がっています。

SnB加工方法は難易度の上がった個片化(チップ化)にも適した加工方法です。硬く、薄くなった基板に対しても、高速スクライビング加工(100mm/s ~ 500mm/s)が可能です。高速のスクライビング加工でも割断法であるため、チッピングが増加することはありません。また、基板に不安定な衝撃を与えないので、個片化したチップがウエハテープから剥がれてしまうことも発生しません。

微細チップの場合は、加工に必要な幅(ストリート幅)を狭くすることができるので、チップの取り数も増やすことも可能です。

 

曲線加工への対応

SnB加工法は直線だけでなく、曲線加工も可能です。さらに、その応用で曲面への加工(3D加工)にも対応しています。スクライブビングホイールによるメカニカルスクライビングの場合、高品質で切断/割断できるのは半径3mm程度までの曲線となりますが、レーザによるスクライビングでは更に小さい半径での割断が可能です。

複雑な形状のSnB加工の場合は、スクライビングよりブレイキングに品質面の問題が発生しやすくなります。スクライビング時に形成したクラックを進展させるときに、加工線からのズレが発生する可能性があるケースでは、加工材料の不要部分にスクライビング(捨て切り)を入れたり、ブレイキングの手法を複数使用したりするなど、スクライビングとブレイキングの条件を最適化し、品質を向上させる必要があります。

三星ダイヤモンド工業株式会社では、基板材料や割断形状に合わせ、長年の研究・開発と経験から、さまざまな手法を組み合わせるノウハウを持っています。

 

カタログダウンロード

技術紹介(PDF)  加工事例(PDF)

 

 

半導体ウェハ等で利用される化合物半導体材料の個片化についてはこちら
化合物半導体材料の個片化(SnB加工) | MDI 三星ダイヤモンド工業株式会社 

 

SBC信越放送様の長野県のものづくりを応援する「YES!ものづくり」という番組で、弊社、三星ダイヤモンド工業株式会社の飯田工場がピックアップされました。
この工場は、脆性材料を分断・加工する時に使用する”スクライビングホイール”をはじめとした、製造装置用の消耗部材・工具などを生産しています。高精度の部品を生産するための様々な自社内開発の自動生産設備、クラス1,000のクリーンルーム設備等があります。
昔のガラス切りには天然ダイヤモンドが使われていました。このダイヤモンドを加工する技術が今も受け継がれ、スマートフォンやテレビの液晶ディスプレイ等を切断する分野で、世界的に高い評価を得ています。 記事内リンクより動画視聴もできますので、是非ご覧ください。

 

飯田工場:サイプラス スペシャル| 長野県のものづくりを応援する サイプラス [ sai+ ] (saiplus.jp)
天龍工場:サイプラス スペシャル| 長野県のものづくりを応援する サイプラス [ sai+ ] (saiplus.jp)

 

 


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