SiCパワーデバイス向け次世代切断技術 – 結晶へき開性を活かしたスクライブ&ブレイク法

SiCパワーデバイス向け次世代切断技術
― 結晶へき開性を活かしたスクライブ&ブレイク法 ―
SiC(炭化ケイ素)は、次世代の電気自動車(EV)や再生可能エネルギー機器、産業機器において注目されるパワー半導体材料です。その優れた物性により、Siに代わる基板としての利用が進んでいますが、高硬度・高脆性ゆえに切断工程でのチッピングやクラックといった課題が多く報告されています。
当社では、ガラス基板切断で培った「スクライブ&ブレイク(SnB)法」を、SiCウェーハに応用する取り組みを進めています。
脆性材料への最適アプローチ:SnB法とは
スクライブ&ブレイク法は、ガラスやセラミックなどの脆性材料に対して有効な切断技術です。ダイヤモンドホイールを用いたスクライブによって表面に微細な溝を形成し、そこから垂直方向にクラックを誘導。力を加えることで結晶方位に沿った自然な割断(へき開)を促すのが特徴です。
- ドライプロセスで冷却水不要、環境負荷が少ない
- ブレードレス切断によるカーフ(損失幅)なし
- 加工ストレスが小さく、チッピング・マイクロクラックを抑制
- SiCのへき開性を活かした切断で、品質の高い断面を実現
SiCウェーハへの応用と評価
SiCウェーハには特定の結晶方位が存在し、これを活かすことで割断面の制御と品質向上が可能になります。下記リンク先の記事にある取り組みでは、SiCに対してスクライブ条件を最適化し、へき開面に沿った切断が安定して実現できることを確認しました。
さらに、SnB法による切断部には、目立った損傷や構造破壊の兆候が見られず、良好な結晶状態が維持されていることが観察されています。
課題解決の選択肢として
この技術は次のような課題を持つ現場に適しています:
- SiCウェハ切断の加工速度や歩留まりに課題がある
- 後工程(研磨・接合)を安定化させたい
- 液冷不要の装置で、設備環境を簡素化したい
- 高精度な切断を繰り返し安定して実現したい
詳細資料はこちら
本内容の詳細や、スクライブ条件・断面評価などについては、以下の技術資料をご参照ください。
▶【記事掲載】次世代パワー半導体(SiC)の結晶へき開型切断加工 | MDI 三星ダイヤモンド工業株式会社
▶ 次世代パワー半導体(SiC)の結晶へき開型切断加工(PDF)

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